ICLは乱視の角度や度数に合わせてレンズを設計できるため、強めの乱視にも対応できる治療として利用されています。
ICLは乱視の角度(軸)に合わせてレンズを固定しますが、術後にわずかに回転する可能性があり、「乱視が残る」「見え方が不安定」というリスクにつながります。
乱視レンズがなぜ回転するのか、どれくらいの確率で起こるのか、ずれた場合は治るのかまで、手術前に気になりやすいポイントを解説します。
ICLで乱視は治るのか?矯正できる度数の限界と乱視が残るケース
ICLで乱視は一定程度まで整えることが期待でき、強い乱視にも対応できる選択肢として利用されています。
ただし、乱視の強さや目の構造によって矯正できる範囲は変わり、すべての乱視が完全に消えるわけではありません。
自分の乱視がどこまで補正できるのかを理解すると、手術後の見え方をより具体的にイメージしやすくなります。
ICLで矯正できる乱視の度数の上限とは
ICLで補正できる乱視は、おおよそ4D前後が目安です。
使われるレンズは乱視の角度や強さに合わせて作られるため、手術前には乱視軸の測定や角膜形状のチェックを細かく行います。
ただし、角膜のゆがみが大きい場合や強度近視を併発している場合は、乱視の度数設定に制限が出ることがあります。
また、安全に手術できるかどうかは前房の深さや角膜内皮細胞数の基準も関わるため、乱視が強いほど調整が慎重になります。
どこまで乱視を補正できるかは、検査での数値と目の状態によって変わるため、医師と相談しながら最適な度数を決めていくことが重要です。
乱視が治らずに残ってしまう主な原因
乱視が残る主な要因
- 乱視軸が数度ずれるだけで補正力が低下する
- 角膜性乱視と水晶体性乱視が混在している
- 術前測定の誤差や術後のレンズ回転が起こる場合がある
ICL手術後に少し乱視が残るのは、乱視の軸や角膜の構造が影響するためです。
乱視用ICLは決められた角度で入れることで効果を発揮しますが、軸が数度ずれるだけでも補正力が弱くなることがあります。
また、乱視には角膜で起きるタイプと水晶体で起きるタイプがあり、両方が混ざっている場合はレンズだけで完全に整いにくいケースがあります。
術前の測定で軸に誤差が出た場合や、術後にレンズがわずかに回転した場合も、乱視が残る理由になります。
残る乱視がごく軽度であれば、見え方に大きな支障が出ないことが多く、場合によっては眼鏡で細かく調整する方法も選ばれます。
近視や老眼と併発している場合の矯正はどうなるか
近視や老眼をあわせ持つ場合、ICLでは遠くの見え方を整える一方で、近くの見えにくさは別の手段で補うケースが一般的です。<老眼は水晶体のピント調節が弱くなることで起こるため、ICLでは直接改善できません。
40代以降では近くが見えにくくなることが増えるため、乱視と近視をICLで補正しておき、必要に応じて老眼鏡や多焦点コンタクトで対応する方法がよく使われています。
強度近視+乱視の場合はレンズ度数の組み合わせが複雑になるため、術前検査での慎重な設計が欠かせません。
自分の生活や仕事で必要な見え方を医師と共有することで、無理のない視力バランスを作りやすくなるといえます。
ICL乱視レンズがずれるとは?位置ズレ(デセンタ)で起きる見え方
ICLは本来、眼の中心に合わせて固定されることでクリアな見え方を保ちますが、レンズがわずかにずれると光の通り方が変わるため、にじみやぼやけを感じやすくなります。
手術後の見え方に影響しやすいため、位置ズレが起こる理由と症状を理解しておくと対策できます。
ずれ(デセンタ)とは何?位置ズレが起こる仕組み
レンズの位置ズレ(デセンタ)とは、ICLの中心が眼の光の通り道から外れてしまうことを指します。
ICLは毛様溝と呼ばれる溝に支えられていますが、溝の形や角度は人によって違いがあります。
溝の幅がレンズのサイズと完全に一致しない場合、術後の落ち着く過程でレンズが少し移動することがあります。
手術直後はレンズがまだ十分に安定していないため、眼圧の変動やまばたきの力が位置に影響することがあります。
一定の範囲のズレは珍しいことではありませんが、光軸から外れる量が大きい場合には見え方の質に影響しやすくなります。
ICLの位置ずれが起こる原因と悪化させる行動
位置ずれが起こる主な原因
- 前房のスペースが狭い・サイズ不一致でレンズが安定しにくい
- 術後早期の目こすり・うつ伏せ寝・衝撃などの外力
- 花粉症やアレルギーで無意識に触れてしまう行動
- Vault(レンズと水晶体の距離)が適正値から外れている
レンズの位置ずれは、目の構造と術後の行動が重なって起こりやすくなります。
前房と呼ばれるスペースが狭い場合や、目の大きさがレンズのサイズと合わない場合には、レンズが安定するまでに時間がかかることがあります。
術後の早い時期に目をこする、うつ伏せで寝る、スポーツで衝撃を受けるといった行動は、レンズに直接力が加わり位置ずれを悪化させる原因になります。花粉症やアレルギーで無意識に目に触れてしまう人は、術後しばらく特に注意が必要です。
また、レンズと水晶体の間隔(Vault)が適正値から外れている場合も、レンズが沈みやすく位置が変わりやすい状態になります。
位置ずれを防ぐためには、術後数週間の生活管理を丁寧に行い、医師の指示に沿って過ごすことが重要です。
位置ズレで起こる視覚症状とは?二重に見える・にじむ・ぼやける
位置ずれで生じる代表的な症状
- 二重に見える(ダブり)
- 光がにじむ(グレア)
- 輪郭がぼやける(ハロー)
ICLが光軸から外れると光が均一に目に届かなくなるため、二重に見える、光がにじむ、物の輪郭がぼやけるといった症状につながります。
位置ずれが軽度の場合は違和感が少ないこともありますが、ズレの角度が大きくなるほど乱視が戻ったような見え方になりやすくなります。
夜間は瞳孔が広がるため光が入りやすくなり、グレアやハローといった光のにじみが強く出ることがあります。
症状は術後早期に一時的に生じる場合もありますが、強く続くときはレンズの位置を確認する必要があります。
見え方が急に変わったり、物が二重に見える状態が続く場合は、位置ずれが進んでいる可能性もあるため、早めに診察を受けて状態を確認することが安心につながります。
ICL乱視レンズが回転するとは?回転確率・軸ズレと再手術基準
ICLは乱視の角度(軸)に合わせてレンズを固定することで、本来の見え方を再現します。
最新モデルの乱視用ICLでは、術後に大きく回転してしまうケースはかなり少ないとされており、多くの人は安定した視力を得られます。
一方で、ごく一部ではレンズがわずかに回転して軸がずれ、乱視が残ったり見え方がにじんだりすることがあります。
乱視レンズがどの程度の確率で回転するのか、どれくらいの軸ズレから問題になるのか、再手術(位置調整)が検討される基準まで、判断に必要なポイントを整理して解説します。
回転(Rotation)とは何?乱視の軸がズレるメカニズム
レンズの回転とは、乱視補正の軸に合わせて入れたICLが、眼の中で角度方向に動いてしまう現象を指します。
ICLのレンズは乱視の軸に合わせて角度を決めて挿入されますが、術後すぐは毛様溝への固定が安定しておらず、眼圧の変化や姿勢による圧力で少し動くことがあります。
軸がずれると乱視補正が弱まり、視界がぼやけたり、光がにじんで見えたりすることがあります。
5〜10度ほどのズレでも見え方に違いが出るため、手術後の数週間はレンズが落ち着くまで慎重な生活が必要です。
ICL乱視レンズが回転する確率と最新の統計データ
乱視用ICLが大きく回転して再手術が必要になるケースは、臨床データでは非常に少ないとされています。
1万眼以上を対象にした報告では、回転が原因で再手術となった例は0.10%程度で、ほとんどの人は問題なく安定しています。
一方で、ごく軽い回転は多くの人に見られる自然な変化であり、術後1カ月の時点では平均3〜4度の動きが確認されています。
数年単位でゆっくり角度が変化する例もありますが、補正に影響が少ない範囲であることが多く、医師の経過観察の中で管理されていきます。
微細な回転は誰にでも起こる現象であり、見え方にも影響はほとんどないので、安心して日常生活を送れます。
回転しやすいのは手術直後〜数週間
乱視用ICLが最も回転しやすいのは、手術直後からおよそ1〜2週間です。この期間はレンズが固定される前の段階であり、眼圧の変動やまばたきの力、姿勢による圧力が影響しやすい状態です。
目をこする、圧をかける、うつ伏せで寝るといった行動は回転のリスクを高めます。
また、前房の深さが浅い場合やVault(レンズと水晶体の距離)が適正範囲から外れている場合は、レンズが安定しにくく、回転しやすい傾向があります。
レンズが一度安定すると回転は起こりにくくなり、視力も落ち着きやすくなります。
術後数週間の行動が安定に大きく関わる期間のため、この時期は特に慎重な生活が必要です。
レンズが回転した場合の再手術基準と判断
再手術が検討される主な基準
- 乱視軸が10度以上ずれ、補正力が大きく低下している
- 視界のにじみ・二重像が強く生活に支障がある
- Vault(レンズと水晶体の距離)が大きく変化している
- レンズが沈み込むなど構造的な不安がある
レンズの回転に対して再手術が必要かどうかは、ずれた角度と見え方の変化を基準に判断されます。
乱視用ICLは10度以上回転すると補正力が大きく弱まり、物が二重に見えたり光が強くにじむなどの症状が出やすくなります。
視力が安定せず生活に支障がある場合は、レンズの角度を戻す調整手術や、必要に応じてレンズ交換を行うことがあります。
逆に、回転がわずかで見え方に問題がない場合は経過観察となることが一般的です。
Vault(レンズと水晶体の距離)の大きな変化やレンズの沈み込みがある場合も、再手術が検討されます。
見え方に違和感が出たときは、早めに状態を確認してもらうことで適切な対応につながります。
ICLによる乱視矯正が受けられないケースはある?適応のポイントを解説
ICLは多くの屈折異常に対応できる治療ですが、すべての人が受けられるわけではありません。
手術の安全性を確保するためには、角膜・眼圧・前房の深さなどの条件を満たす必要があります。
手術を検討するときは、自分の目がICLに向いているかどうかを知ることが大切です。
乱視用ICLの適応基準とは?角膜・眼圧・前房深度
| 項目 | 基準の目安 | |
|---|---|---|
| 角膜 | 角膜の厚み | 適正な厚さがあること |
| 角膜形状 | 不整・変形がないこと | |
| 角膜内皮細胞数 | 基準値以上であること | |
| 前房深度 | 前房の深さ | 十分なスペースがある状態 |
| 眼圧 | 眼圧の安定 | 異常や緑内障の兆候がないこと |
ICLが受けられるかどうかは、目の構造と屈折度数が基準を満たしているかによって判断されます。
年齢はおおむね21歳以上が目安で、屈折度数が安定していることが前提になります。
角膜の厚さや形状に問題がないか、角膜内皮細胞数が適正な範囲にあるかも、手術の安全性に影響する重要なポイントです。
前房の深さが十分あることも必要で、浅い場合はレンズの位置が安定しにくく、水晶体や角膜へ負担がかかる可能性があります。
眼圧も安定している必要があり、緑内障の兆候がある場合は慎重に判断されます。術前検査で細かく確認され、総合的に安全と判断されて初めてICL手術が適応になります。
手術後にリスクが高まる目の状態とは
術後リスクが高くなる主な目の状態
- 円錐角膜など角膜の変形・薄さがある
- 網膜裂孔・強度近視による網膜の脆弱化
- 白内障の進行がある
- 重度のドライアイ・眼内炎の既往
もともと目の病気がある場合や角膜の構造に異常がある場合は、ICL手術後のリスクが高くなることがあります。
例えば、円錐角膜のように角膜が薄く変形している場合は、屈折のバランスが安定しにくく、術後に乱視の変動が起こりやすくなります。
また、網膜に裂け目がある、強度近視で網膜が弱くなっている、白内障が進行しているといった状態も、術後のトラブルにつながりやすいため慎重な判断が必要です。
重度のドライアイや眼内炎の既往がある場合も、手術の負担が大きくなるケースがあります。
持病がある人や長期的な薬の服用がある人は、事前に医師へ共有することで、安全に受けられるかどうかを明確にできます。
手術を迷っている場合の判断材料(年齢・職業・見え方)
| 項目 | 考えるポイント |
|---|---|
| 年齢 | 老眼の影響や近方視の必要性を踏まえる |
| 職業・生活 | PC作業・スポーツ・屋外活動の頻度 |
| 見え方の悩み | 生活にどれほど支障があるか |
手術を受けるか迷っている場合は、年齢、仕事、日常の視力の不便さを基準に考えると判断しやすくなります。
長時間パソコンを見る仕事をしている場合や、スポーツを日常的に行う場合は、裸眼の快適さが大きなメリットになることがあります。
一方、老眼が進み始める年代では、近くの見えにくさが残る可能性を理解したうえで手術する必要があります。
職業によっては近方視が特に重要な場合もあり、自分に必要な「見える距離」を把握することが重要です。
また、見え方の悩みが生活にどれほど影響しているかも判断材料になります。
迷う場合は複数の医療機関で検査を受けて意見を聞くことで、自分の目に合わせた選択がしやすくなるといえます。
ICLは乱視矯正に有効!ずれと回転を正しく理解すれば過度に不安になる必要はない
ICLは近視だけでなく乱視にも対応でき、幅広い屈折異常に使われている治療です。
レンズのずれや回転といった変化は術後に起こる可能性がありますが、仕組みや起こりやすい時期を理解しておくと、不安を必要以上に大きくすることなく手術を検討しやすくなるようになります。
自分の目の状態と向き合いながら、医師と相談して適切な治療方法を選ぶことが大切です。
ICLクリニックを選ぶ際は、クリニックの手術実績や料金体系、術後のサポート体制が整っているかなどを検討することが重要です。
「ICL手術やらきゃよかった」と後悔しないためにも複数のクリニックを比較しましょう。
