ICLで乱視を矯正する際、眼内レンズのずれや回転によって視界が安定しないことがあります。
乱視を矯正するICLは、特定の角度に合わせてレンズが挿入されるのでレンズがずれることで見え方に変化が生じることがあります。
ICL手術を受ける際は、術後のリスクや再手術の可能性、乱視が本当に治るのかを確認してから判断することが重要です。
ICLで乱視用のレンズがずれる原因や回転する確率・ICLで矯正できる乱視の度数などを解説しています。
手術前の不安を減らし、自分にとって最適な治療法を見つけるための知識としてご活用ください。
ICLで乱視用のレンズがずれる原因や視覚症状ついて解説

ICLによる乱視矯正を検討する際、眼内レンズが術後にずれてしまう可能性もあります。
特に乱視用レンズは、角度のわずかなずれが視力に影響するため、術後の安定性は慎重に見極めたいポイントです。
ICL乱視レンズがずれる原因や術後にレンズのずれが起きやすい状態や視覚症状について解説しています。
ICLでの乱視矯正を安心して受けるために、手術の前に知っておくべき情報を押さえておきましょう。
ICL乱視レンズがずれる原因とは
ICL乱視レンズが術後にずれる原因には複数の要因があります。特に重要なのは、レンズの構造と眼内での固定角度の安定性です。
乱視用のICLは角度を指定して挿入されるため、わずかな回転でも視界に影響を与える可能性があります。
原因 | 概要 |
---|---|
解剖学的形状の不一致 | 眼球の大きさや虹彩の形がレンズに適していない |
レンズサイズの不適合 | サイズ選定のミスやフィット不良によって安定性が下がる |
外的要因 | 術後に目をこする、外圧がかかるなどの行動 |
これらの要素が複合的に作用することで、レンズが回転または移動しやすくなります。
医師による術前の正確な診断が、乱視用レンズがずれるリスクを軽減してくれます。
乱視用レンズがずれる3つのNG行動
ICL手術後にスポーツや肉体労働などで眼に衝撃が加わることで、乱視用レンズがずれてしまいことがあります。
乱視用レンズがずれる3つのNG行動
- 前房(角膜と虹彩の間)が浅く、レンズが不安定になりやすい
- スポーツや肉体労働などで眼に衝撃が加わりやすい
- 花粉症などで目をこする習慣がある
特に1週間以内はレンズが安定しておらず、乱視用レンズがずれる可能性が高いため注意が必要です。
ICL手術後の生活で目に負担をかけないよう、医師の指示に従い慎重な行動を心がけましょう。
レンズのずれによって起こる視覚症状について
レンズが正しい位置からずれてしまうと、見え方に変化が現れることがあります。
視覚症状 | 内容 |
---|---|
グレア・ハロー | 光がにじんで見える 夜間に感じやすい |
光源のぼやけ | ライトや標識がにじんで視認性が落ちる |
複視 | 物が二重に見える 角度のずれによる乱視の再出現 |
このような症状が術後に現れた場合、乱視用レンズが回転していたりずれている可能性が高いです。
物が二重に見えるなど視覚症状の変化を強く感じた時は、早めにを受診し必要に応じて再手術を検討しましょう。
ICLで乱視用のレンズが回転する確率は?再手術の判断についても紹介

ICLで乱視を矯正する場合、眼内レンズの回転による見え方の変化や再手術の可能性が懸念されます。
特に乱視用専用レンズであるトーリックICLは、角度のずれに敏感な構造のため正確な知識と対応策を知っておくことが術後の安心につながります。
レンズが回転する確率と統計データ
乱視用ICLの回転は極めて稀な現象とされています。10,258眼を対象とした大規模研究では、回転が原因で再手術(レンズの再調整や交換)が行われたのは全体のわずか0.10%(10眼)でした。
一方、別の研究では、EVOトーリックICLを用いた40眼の観察において、術後1ヶ月で平均3.70度、3年後で6.00度の回転が確認されており、年単位で徐々に回転が進行する傾向も報告されています。
ICLは非常に安定性の高い手術である一方、少数では回転が視力に影響するケースがあることもわかります。
視力に影響を及ぼさないためにも、手術前の医師による正確な設計と術後のフォローアップが重要です。
レンズが回転する可能性が高いのは手術直後~数週間
乱視用レンズが回転する可能性が高いのは、主に手術直後~数週間とされています。
特に術後1週間以内はレンズが眼内に固定されていないため、目をこするなどの生活習慣の影響や眼圧の変動といった外的要因によって回転が起こりやすくなります。
レンズの回転が起きやすいケース
- 前房(角膜と虹彩の間)が浅く、レンズが安定しにくい場合
- レンズサイズが眼内に適していない(過小または過大)
- 術後の目のこすりなど生活習慣の影響
- 高乱視度数(シリンダーパワーが大きいほど視力影響が大きい)
Vault(レンズと水晶体の間隔)の不足や過剰場合も、レンズが回転する要因となります。
術前の検査でリスクを把握することがレンズの回転を予防する第一歩です。
レンズが回転した場合に再手術を行う判断
ICL乱視用レンズが回転した場合でも、すぐに再手術が必要になるわけではありません。
視力に明らかな低下がなく日常生活に支障がなければ、経過観察で様子を見ることが一般的です。
視力が不安定になったり光がにじむなど自覚症状が強い場合は、再手術を検討しましょう。
ICL再手術の検討が必要な自覚症状
- 回転角が10度以上で、視力が不安定になっている
- 物が二重に見える、光がにじむなどの自覚症状が強い
- Vaultが著しく低下しており、角膜や水晶体への影響が懸念される
再手術の内容は、レンズの位置修正またはサイズ変更を伴う再挿入となります。いずれも手術時間は比較的短く、リスクも限定的です。
早期の対応によって、視力の安定性を回復できる可能性があります。
ICLで乱視は治るのか?矯正できる度数の限界や注意点

ICL手術によって乱視がどの程度まで矯正できるのかは、使用するレンズの性能と目の状態によって変わります。
乱視が完全に消えると期待するのではなく、あらかじめ矯正できる度数の限界を理解しておくことが、手術後の満足度につながります。
ICLで矯正できる乱視の度数とは
乱視用のICLでは、一般的に最大4D程度までの乱視を矯正することが可能です。 これは日本国内で認可されているトーリックICLに基づく基準で、4Dを超える乱視の場合はICL単独では矯正できない可能性があります。
また、強度の近視や角膜乱視が合併している場合、理想的な矯正度数の設定が難しくなる可能性があります。
その場合には、手術後に乱視が残っていても、眼鏡などで調整する対応がとられます。
乱視が治らずに残ってしまう原因
ICL手術を受けたあとでも、わずかな乱視が残るケースがあります。主な原因としては、レンズの固定角度に誤差があったり乱視軸の測定誤差が手術前にあるなど様々です。
乱視が治らずに残ってしまう原因
- レンズの固定角度にわずかな誤差がある
- 眼球の解剖学的特性によりレンズが密着しにくい
- 乱視軸の測定誤差が術前にあった
- 術後にレンズが自然に回転してしまった
こうした乱視が残るケースでは、眼鏡やコンタクトレンズで補正可能です。
残った乱視が生活に支障をきたすほどでなければ、再手術をせず経過観察することが一般的です。見え方に不安を感じたときは、定期検診で眼科医と相談しましょう。
近視や老眼との併発時の対応はどうなるか
乱視だけでなく、近視や老眼を併発している場合、ICLでどこまで矯正すべきかを慎重に考える必要があります。 ICLは近視・遠視・乱視には高い矯正力を持ちますが、老眼への直接的な対応はできないためです。
そのため、老眼が気になる40代以降では、乱視と近視をICLで補正し、老眼は老眼鏡やコンタクトで対応するケースが多く見られます。
また、将来的に多焦点眼内レンズへの移行を検討する選択肢もあります。
自身のライフスタイルや仕事の視力要件に応じた視力設計が重要です。
医師と相談しながら、自分にとってもっとも自然な見え方が得られるバランスを見つけましょう。
ICL乱視矯正は受けられない?事前に確認すべき条件

ICLによる乱視矯正は、すべての人が受けられるわけではありません。
目の状態や健康状態によっては、ICLが適さないケースもあります。
ICLによる乱視矯正を受けるための条件や避けた方がよい目の状態、迷ったときの判断材料について解説します。
乱視用ICLの適応基準と条件
ICLによる乱視矯正を受けるには、年齢や視力の安定性・角膜の状態・屈折度数の範囲といった条件をクリアしないといけません。
項目 | 適応条件の内容 |
---|---|
年齢と視力の安定性 | 21歳以上で視力が安定している |
角膜の状態 | 十分な角膜の厚みがあり変形がない |
屈折度数の範囲 | 近視・乱視の度数がICLで対応可能な範囲内 |
さらに、前房の深さや白内障・緑内障の有無など、眼内構造の状態も手術可否を左右する重要な要素です。
ICLは視力を根本的に補正する治療です。そのため、単なる希望だけではなく、医学的に安全かつ有効であるかの診断が欠かせません。
ICL手術後にリスクが高まる目の状態とは
角膜の構造に異常があったり白内障や網膜疾患がある場合は、ICL手術後に合併症などのリスクが高くなってしまいます。
ICL手術後にリスクが高まる目の状態
- 円錐角膜など、角膜の構造に異常がある場合
- 白内障や網膜疾患がある場合
- 眼内炎や慢性的なドライアイが重度の場合
また、妊娠中・授乳中の方や、全身疾患(重度の糖尿病・自己免疫疾患など)を抱えている方も、術後のリスクが高まる可能性があるため、医師と慎重に相談する必要があります。
ICL以外の視力矯正法が適していることもあるため、選択肢を広く検討することが重要です。
手術を受けるか迷ったときの判断材料
光のにじみやぼやけなど、日常生活に影響を及ぼす場合はICL手術を検討しましょう。CL手術を検討すべき目の症状
- 日常生活での視力の不便さ
- 眼鏡やコンタクトに対する不満・制限
- 術後のライフスタイルや長期的な視力への期待
不安な点がある場合は、複数の医療機関で説明を受ける方法も有効です。
納得のいく判断材料を集めてから、決断するようにしましょう。
ICLクリニックを選ぶ際は、クリニックの手術実績や料金体系、術後のサポート体制が整っているかなどを検討することが重要です。
「ICL手術やらきゃよかった」と後悔しないためにも複数のクリニックを比較しましょう。
乱視矯正の選択肢としてICLを検討する際には、リスクとメリットの両面を正しく理解することが欠かせません。
術後のずれや回転などのトラブル、視力の戻り、将来の老眼との関係までを含めて、自分にとって納得できる選択ができるかどうかがポイントです。
治療に不安を感じている方も、正しい情報を得ることで安心感を持って判断できるようになります。
ICL乱視矯正を受けるかどうかの選択は、自身の目と人生に関わる大切な決断です。医師とじっくり相談しながら、自分に最適な治療を見つけていきましょう。